デジタルマーケティングの自社プラットフォームを考える3つの軸

検索エンジンの新たな方向性やソーシャルメディアの台頭等、デジタルマーケティング環境の変化は激しいと言えます。感覚的な意見ですが、プレイヤー間の競争を背景として、新しい機能がこまめにアップデートされることで、ゆるやかながら日々変化し、大きな兆候は6ヶ月単位で明確になるような気がします。

デジタルマーケティングに関わるキーワードも、SEO、ソーシャルメディアマーケティング、そして、今年に入ってからはコンテンツマーケティングが盛んに取り上げられています。当社はこうしたキーワードは単なるBuzz Wordではなく、前回までに説明してきた環境変化を考えると必然的に、それぞれが重要な役割を担っていると考えています。

では、自社ウェブサイトやブログ、ソーシャルメディア上のチャネル等、自社のデジタルマーケティングのプラットフォームに上記は具体的にどのように関連し、どう役割を持たせば良いのでしょうか?

当社は以下の3つの軸で考えることを提案しています。また、各軸間の連関を理解することで、整理・統合が容易になると考えています。

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SEO、Social Media、Contents Marketing統合の考え方

今日はこの軸に沿って、考え方を共有し、今後の事業者サイドのデジタルマーケティングプラットフォームの在るべき像を深堀していきたいと思います。

1. 自社ウェブサイトの検索エンジン対策

前回取り上げたように、検索エンジン対策はあくまでもGoogleが推奨するホワイトハットSEOを対象としており、具体的には、検索エンジンのクローラビリティとインデックス対策となります。

クローラビリティ対策は基本ですが、インデックス対策としては、当該テーマに基づいたキーワードを含めた文章量を増加させなければなりません。こうした目的には、プラットフォームとしてブログを活用することが望ましいでしょう。当該テーマに沿ったコンテンツを継続的に追加し、検索エンジンのインデックス数も増大させることが具体的施策として上げられます。

特に自社ブログについては、位置付けや内容に迷う企業が多いようです。確かに不明確であればやる意味がありませんが、こうした位置付けとすることで、ログ解析によるトラフィック獲得のトラックにて評価も可能です。また、こうした見地に立てば、ブログを自社ドメイン以外で展開する例がありますが、あくまでも自社ドメインの中で展開したほうが良いでしょう。

連関A) 1. と 2.

また、この点は、2つ目の軸、顧客にとって有益な情報配信と相互に関連していることに注意します。プラットフォームとしてはブログが最適ですが、インデックス対策だけを考え、ターゲットとするキーワードが含まれた文章を追加すれば良いというものではありません。2つ目の軸は、そこで展開されるコンテンツの条件となり、有益なコンテンツが、検索エンジンにインデックスされるべきです。

2. 顧客にとって有益な情報作成と配信

昨今、盛んに取り上げられているコンテンツ・マーケティングと呼ばれる領域ですが、その情報は顧客にとって有益であることが前提となります。
もう少し違う言い方をすると、貴方のサイトもしくはコンテンツを検索エンジンの結果に表示させる、または探してもらうということは、「顧客の質問に答える」ことを意味します。そのコンテンツは顧客が抱える課題に対する答えになっているでしょうか?

セールスピッチな情報だけでは、顧客の質問に答えることにはなっていないかもしれません。このシンプルな問いかけは簡易的なコンテンツ評価に使えることができます。また、フォーマットとしては、ブログ記事やPDF形式のeBookダウンロード、スライド資料など、利用できるものは多いです。

連関B)2. と 3.

上記2つの軸は、SEOとコンテンツマーケティング、二つの領域にまたがるテーマとなり、主にインデックス対策として検索エンジンを対象とした書き方をしましたが、ソーシャルメディア上で共有される情報の条件ともなります。「顧客の抱える質問に答える有益な情報」を配信することは、すなわち共感を得て、共有されることになり、3つ目の軸であるソーシャルメディア上での自社チャネル展開と相互に関係します。

3. ソーシャルネットワーク上での自社チャネルの確立

ソーシャルネットワーク上の友人関係(ソーシャルグラフ)を経路とした情報共有・流通基盤にアクセスするためには主に二つの方法があります。一つは、ソーシャルメディア上に自社のマーケティングチャネルを展開することです。Facebook であればFacebook Page、Google PlusであればGoogle Plus Page、Twitterであれば公式アカウントなどです。また、B2B事業者であれば、プレゼンテーションスライドを共有できるSlideshare.net は特に有効でしょう。

また、誤解されやすいのですが、ソーシャルネットワーク上でのチャネル確立とは、チャネルを設置だけでなく、ユーザとの関係構築も含まれます。この軸の本質的な目的は、自社チャネルで顧客の有益な情報を配信し、ユーザから情報配信・共有のソースとして活用されることで、ネットワーク効果を発揮するハブとして機能させることです。よって、自社チャネルを展開するだけでは目的を達成できません。チャネルにつながったユーザベースの成長と会話促進が前提となり、コミュニケーションを最大化させていく必要があります。

チャネル展開の二つ目は、自社サイト、ブログにSocial Plug-inを導入し、各ソーシャルメディアのコミュニティに直結した情報共有経路を確保することです。 技術的にはOGP(; Open Graph Protocol)等、気をつけなければならない点は多いですが、ここでは詳細の話となりますので、また別の機会とします。このSocial Plug-inによる共有効果は、ソーシャルメディア上でのインプレッションの拡大、そして自社へのトラフィックとなりますので、大変重要です。

連関C) 3. と 1.

ソーシャルネットワークにつながったユーザベースをハブとして情報共有がなされるということは、自社サイトへのトラフィックを生むということです。検索エンジンは、この「人」を介したリンクストリームを理解し始め、よりパーソナルな結果を表示する方向性にあります。つまり、3.の主なテーマであるソーシャルメディアマーケティングは、SEOと密接に、相互に関係しているのです。

事業者サイドにとって重要なこと

今回、3つの軸は、それぞれ個別には理解しやすいものかもしれません。それぞれ、SEO、コンテンツマーケティング、ソーシャルメディアマーケティングの領域です。しかし、事業者サイドとして最も認識すべきは、各軸間の連関です。これらに挙げた各マーケティング領域は個別に語られることが理解しにくい状況を作り出しています。どれを選ぶのか?ではなく、統合して考えることが重要でしょう。
また、ベンダー側も3つそれぞれの分野でスペシャリストは存在するものの、これらを統合した解決策を提供できる会社が少ないことが、複雑にしている要因でもあります。

これらの連関は、オンラインマーケティング活動におけるプラットフォームのあるべき姿として、各領域での施策やアクションを最適化する役割を果たし、また、各領域での複数ベンダーを調整していく上での共通認識にもなり得ます。現在または今後、サイトリニューアル時期にある、またはソーシャルメディアマーケティングの展開時期などをを契機として、こうした連関に目を向けて、計画を立案する、または見直すなどに取組む価値があると思われます。